【酢の基本】
酢は、酸味の調味料として代表的なもので、酸味を感じさせる食品の多くに用いられています。ポン酢、マヨネーズ、酢味噌などの調味料から、酢飯、酢漬けなど挙げていくとキリがないほどです。
酢は、酢酸菌という微生物がアルコールを発酵することで造られます。その為、お酒であれば何でも酢になります。
日本の酢の歴史は、3世紀ごろに中国から酒を造る技術が伝わった頃と前後して来たといわれています。酒が発酵して酸っぱくなったものであることから異名として苦酒(からざけ)とも呼ばれていた。奈良時代には御酒司という役場にて酒とともに酢を造っていた記録が残っています。
酢の種類は、基本、原材料の名前を冠して呼ばれ、穀物から造られる場合は穀物酢、果実から造られる場合は果実酢といった感じになります。世界ではトウモロコシ、ハチミツ、パイナップル、ココナッツ、竹などからも酢が造られますが、この記事では日本農林規格(JAS)で決められている醸造酢に絞って説明します。
JAS規格では、醸造酢は穀物酢、果実酢、これら以外の醸造酢に分かれています。そして酢ではない酢も併せてご紹介します!
酢の種類
穀物酢
穀物酢は、米から造る米酢、それ以外の穀物酢に分けられ、それ以外の穀物酢には酒粕から造る酒粕酢、麦から造る麦芽酢があります。
果実酢
果実酢は、ブドウから造るブドウ酢、リンゴから造るリンゴ酢、それ以外の果実酢に分けられます。それ以外の果実酢で有名なものに、和歌山県の柿から造る柿酢などがあります。
穀物酢・果実酢以外の醸造酢
穀物酢・果実酢以外の酢には、さとうきびから造るきび酢、はちみつから造るはちみつ酢などがあります。
酢ではないのに酢と呼ばれている沖縄県のもろみ酢
ここまで説明してきた酢は、酢酸菌がアルコールを発酵させることで造られる酢酸の酸味を主体とした調味料です。
しかし、沖縄県には酢酸ではなく、クエン酸の酸味を主体としたもろみ酢というものがあります。もろみ酢は泡盛を造る際に出る蒸留粕(酒粕)を原材料として造られます。酒粕に残った泡盛麹が造り出したクエン酸を酢として利用しているのです。
終わりに
酢は、酒の歴史と関連が深く、古代から人類に親しまれてきた調味料です。
酢の基本は、酢酸菌が発酵して造り出した酢酸を活用する醸造酢なので、この記事の後半では醸造酒に絞り話を展開しました。
日本でも様々な形に加工され、調味料や料理の味として馴染み深い酢、そんな酢に少しでも興味を持っていただけると嬉しく思います。