徳島の三芳菊で酒造り~全国から13名の酒好きが集結…!

ゴールデンウィークに徳島に13名の日本酒オタクを連れて三芳菊酒造にお酒造り体験にいってきました。
日本文化において、日本酒は欠かせない存在。
大事な國酒でもあり酒造りは日本の無形文化遺産でもあるのに、悲しいことに衰退産業です。
コロナ禍では150近い酒蔵が倒産してしました。
三芳菊酒造もコロナ禍で苦労している酒蔵の一つです。

三芳菊酒造は1903年(明治36年)創業。

この蔵の特徴ともいえるのは、なんといっても社長兼杜氏の馬宮亮一郎さん。

とてもロック好きであり(特にパンクロックが好き)地元のバンドでギターを弾いています。

3人の娘さんのうちの1人は、学生時代にバンドを形成し、ドラムを叩いていたそう。

 

馬宮さんが蔵に戻ってくることになる前は、東京のレコード屋でバイトをして、バンド活動に明け暮れていたときにお母さんから電話がかかってきて、

「もう蔵をたたむから、あなたもまともな仕事につきなさい」、と言われたことから始まります。

それまでは酒蔵の家に生まれてきたけど、蔵を継げともいわれていなかったし、継ぐことを考えていなかったそうですが、

お母さんより「本当のことをいうと継いでほしい、蔵を無くしたくない」、打ち明けられたことから実家に戻ってきたとのこと。

その後、長年蔵につとめていた杜氏から酒造りを学んだり酒類研究所で日本酒の造りを学び、杜氏兼蔵元社長に。

また愛媛県の酒蔵(2009年に廃業)に勤務していた四国初で唯一の女性杜氏、宇高郁子さんが加わり、宇高さんが山廃作りをメインで担当されています。

三芳菊がめざすところ。

それは日本酒業界に変化をもたらすこと。

現在は、自家酵母(蔵付酵母)を開発していて その命名・登録を考え中です。

馬宮さんが教えてくれた酒造りのスタイルの一部を紹介させてください。

「三芳菊の特徴は甘さにあると感じられるお客様も多いのですが、実は目指しているところは少しちがっておりまして、そのことについて一言。

一番目指しているものは、水とアルコールと香味成分の調和なのです。

これは、簡単にいいますとアルコール感を感じずに飲める日本酒なのかもしれません。

誤解があるといけないので、ご説明させていただくと、言い方を変えると、現代人の舌にあった日本酒ということでしょうか。

いま『三芳菊』がそうだというわけではなく、あくまでも目指すものだということなのですが。

こういったお酒を造るにはどうしたら良いのか、考えました。まずは酵母です。

徳島県酵母を開発しました。

この酵母は、香りもかなり出ます。

しかし立ち香だけではなく、充分な含み香も出ています。

香りがすごく濃厚で甘くても、味とのバランスが欠いてしまってはもったいないので、味もそれに負けないものでなくてはなりません。

ここで麹の造りを考えました。

全体の造りとしましては、従来の吟醸造りの全く逆の方法で仕込んでおります。

一つは、徳島酵母が全体的に弱い酵母であるため、早沸きになるくらいまでの極端な高い温度で仕込みます。

添え麹、仲麹は完全に溶けるように総ハゼ麹です。

留めの仕込みも比較的高い温度で仕込みます。

徳島県酵母は、もともと小酸性の酵母です。

ベテランの杜氏さんであれば、酸度が0.8とかのきれいなお酒になるでしょう。

そこで温度を高くし、麹を溶かし、酸度を引き上げるのです。

酸の出ない酵母で酸を無理矢理に出すと、従来の日本酒に多い乳酸よりも、リンゴ酸などの酸がたくさん出ます。

これが『三芳菊』の仕込みの特徴です。

あとは、もろみの日数を引っ張らないことが重要です。

私は弊蔵の酒はもろみ日数25日間で考えております。

30日など引っ張りますと思っていない味や香りになってしまいますので、この日程で完成するようになんとか環境を造っております。

これは60%の純米酒でも40%の大吟醸でも同じです。

仕込み配合を決めましたら、もろみに水を足す、追い水もしないと決めています。

あとタンクも混ぜない造りをしております。

なんだかんだ言いましても、お酒を醸すのは酵母なので、発酵してもらうための環境造りをするのが、私の仕事だと思っております。

三芳菊 というと、甘みのあるお酒が特徴だと思われるお客様が多いのですが、実は少し違うものを目指しています。

私たちが目指しているのは、水、アルコール、旨味成分の調和とバランスです。

アルコールをあまり感じさせない、現代人の味覚に合った飲みやすいお酒を目指しています。

他の酒蔵と違うのは酒造りのスタイルだけでなく、瓶のラベルもかなり違っています。

この特徴的でかわいいラベルを見てみてください。

専門家の中には、「自分の酒に自信がないから、かわいいラベルを使っているじゃないか」とバッシングする人もいますがそんなことはないです。

三芳菊のような小さな酒蔵にしては、30種類以上の商品を作っているのは驚きだ。

娘さんたちは、帰省するたびに見たことのない新しいお酒がある、と言ってました。

今回は、蒸し米、放冷、2日間の麹作り、お酒の瓶詰め、ラベル貼り、酒粕剥がしなどを体験させていただきました。

次にお酒造りにいくのは11月埼玉の権田酒造、2月新潟の玉川酒造など企画しています。

興味がある方はご連絡ください。